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2008年 02月 14日

「病気」

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                                      野長瀬正夫


                  少年は 母にせがんで
                  とこを天まどの下にうつしてもらった

                  ある日、少年は
                  天まどのガラスに
                  白いものがちらちらふってくるのを見た
                  ――― おかあさん、雪ですか。
                  母は さくらの花ですよと答えた

                  ――― なあんだ、さくらの花か。
                  少年は きゅうに
                  りんごをサクサクたべてみたくなった
                  ――― あいよ。りんりんりんごをたべるのかい。
                  母は めずらしくおどけながら
                  赤いりんごを盆にのせてきた
                  すべすべしたりんごの皮が
                  じょうずにつながってむかれていくのをながめながら
                  少年は あまえてこういった
                  ―――おかあさん、ぼく、もうじき起きられるよ
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by chilin-h | 2008-02-14 23:43 | 野長瀬正夫


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